Skoop On Somebodyが「ぼくらが思うゴスペルってなんだろう?」と考えて出した答えは、喜びがある(泣きながら笑ってる)、人を元気にさせる、笑顔にさせるだった。
そして、それを形にした曲が『ANSWER~歓びの歌~』
Skoop On Somebodyのサポートベーシストとしておなじみの小松秀行さんとスタジオに入ってセッションで作ったナンバー。
世の中を照らすような眩しい光を放ち、シンプルでノリやすさに特化したサウンドが身体を揺らす。
世界レベルの広い目でも、国内といった狭い目でも。昨今はすごく陰鬱としているし、SNS上に限るけど刺々しい人が増えた。
だからこそ、これぐらい眩しい曲が世の中を照らすべきなのだろう。
約4000文字ですが、お付き合いいただけたら嬉しいです。
【目次】
音を束ねて木の幹のように太くしたサウンド
『ANSWER~歓びの歌~』は、ライブで3人でも成立するようにシンプルにしたサウンドが特徴。
3人で演奏するスタイルでも楽曲の勢いが削がれにくく、かつリズムにも乗りやすい。そして、ライブで皆で大きい声出して盛り上がるのにもってこいだ。
「なんぼでも凝ったことはやろうと思えば時間かけてやることができる。でも違うなと思った。」
「難しいことはダメですよ」
KO-HEYさんがラジオで話していたように、一音一音が複雑に絡み合って織りなすのではなく、音を束ねて木の幹のように太くしたような曲。
KO-ICHIROさんの鍵盤が刻み続ける8分音符と、KO-HEYさんのドラムの8ビートの組み合わせは、屋台骨のようながっちりとしたグルーヴになっている。
曲が始まった瞬間からTAKEさんの歌声がかっこいい。キレがあってすっと耳に入ってくる。
メロは極力シンプル。ドラムと鍵盤にベースが加わり、薄く聴こえるオルガンが時々顔を出したり。
特に、AメロとBメロを繋ぐ絶え間ない鍵盤のアルペジオが心地良い。
サビではコーラスが登場。3人という少数精鋭でクワイアーアレンジはKO-ICHIROさんが担当。歌声が突き抜ける感じと太さに圧倒される。
また、KO-ICHIROさんピアノと小松さんのベースが揃って山を描くように音が上下する。これは思わず身体が動く。
(そのうえ、TAKEさんの歌声が重ねられてるの嬉しい。1人で声を重ねて出る厚み大好き。)
アウトロになると、KO-HEYさんのドラムの音がめちゃめちゃパワフルになる。そこにコーラスが乗っかると、ぶわっと突風が吹き抜けるみたい。
"Oh yeah"という歌声の厚みには「ぇ、本当に3人なんですか?5、6人いるんじゃないの……?」と驚いてしまう。
それをバックにTAKEさんが歌う"Sing it loud"がすっごく気持いい。きっとライブで聴くとつられて大きな声を出して歌ってる。
……ちなみに、各々のプレイも勿論いいんです。特に聴いてほしいのは2つ。
まずは2番サビ前、勢いのあるKO-ICHIROさんのグリッサンドは太陽の光と思えるぐらい眩しい。爽快感抜群な演奏。
そして、小松さんのベースは最後の「答えはいつでもこの場所に」以降とアウトロでは動きのあるベースプレイがしっかり聴けます。
歌詞の内容は『僕らのゴスペル』
「初めてダニー・ハサウェイの歌を聴いたとき涙が止まらなかった。その涙の理由を探して探して探してたどり着いたのが、アメリカのハーレムの黒人の教会だった」
作詞を担当したTAKEさんは自身のゴスペル観について、そうラジオで語っていました。
私はTAKEさんじゃないからわからないけど……サビや2番Aメロはこのエピソードなのかなと思っています。
ただ、当時のことだけではなく、今まで歩んできた人生の道のりがステンドグラスのように思えたのかもしれない。
そして、人に感謝の気持ちを伝える「ありがとう」や"Thank you"が歌詞にはいっぱい使われてます。
自然と人を笑顔にしたり、心をあたたかくするから何度も使われてるのかなと思った。
些細な言葉だけど……言われて嫌な顔する人っていないでしょう?
「日々感謝している」とメンバー3人でよく口にしていて、いつも笑顔でいますしね。
Skoop On Somebodyなりのゴスペルとは
TAKEさん、KO-HEYさん、KO-ICHIROさんがそれぞれ思うゴスペルを掛け合わせた今作。
REIJOIN前のTAKEさんが1人でクワイアーやサウンドを引っ張っていくゴスペルソングような感動は無い。明らかに別物になっている。
「聴いてくださる方にとって、横に置いておかないとダメっていうような音楽をもっともっと作っていきたいですね。」
"1997"がリリースされた際に、ドラムマガジンのインタビューでKO-HEYさんはそう語っていた。
思えば、"Save Our Smiles"も同じように元気になれる明るい楽曲。
1ミリも残さず、心の隅々まで満たしてしまう深い感動は無いかもしれない。そのかわり、音楽を身近に感じるコトができて、とっても元気になれる。
それがきっと、Skoop On Somebodyなりのゴスペルなのだろう。
MVについて
MVはダンサーさんを起用し3人が取り囲むような感じになっているが、すごくいいと思う。
廃墟で撮影したとKO-HEYさんが語ってたけど、それが現代の暗く重い空気のように感じた。真っ白な衣装のダンサーさんのキレッキレな振り付けは、その空気をかき消すように輝いていた。
(ちなみに、撮影には数時間かかったそうです。ダンサーさんは何回もアングルを変えて踊っても息切れしなかったらしい。すごい。)
……けど、『誰が主役』でしたっけ?
『音楽聴いてる人が主役』であれば、音楽聴いて踊るほうが主役と考えるコトができます。でも、好きで聴いてる側からすれば……3人が主役じゃない?
また、3人揃ったカットが一切なくて、個々を抜いて映してる部分しかないのも、ちょっと寂しいなと私は思いました。
(ちなみに、ステラのMVと同じ撮影チームだそうですが……ステラの最後に3人揃ってるところ、すごく大好きです。)
手厳しい感想
ここから手厳しいコトを3つほど書くので、苦手な人はスクロールしてください。
まず、MVの差し替えをするという公式コメントがしれっと消えてる。不手際が生じてしまい、一言お詫びして直したものを出すのならわかる。
だけど、コメントを出したにも関わらず削除はどうかなと思う。もう直しようがないのであれば、コメントで謝罪してYoutubeの動画欄に一言添えたほうがいいのでは。
続いて、歌詞の公開が遅いのは本当にやめてほしい。配信スタートから約3週間後に歌詞公開って遅すぎるでしょういくらなんでも。。。
しかも、SpotifyとApple Musicには6月3日現在歌詞が無いです。流石にユーザー数が多い2大サブスクでは公開したほうがいいと思うんだけどな……。
そして、クレジット表記。これは邦楽業界でも出来てないアーティストいっぱいいる(し、私はそれに対してめちゃめちゃ怒ってます。)
音に対する追求がすごいんだし、スタッフさんの名前とかも載せてほしいよ。無理なら楽曲に参加した人の名前を載せてほしい。インタビュー動画に載せたからいいでしょ?いやよくないですが。。。
(……大真面目なマジレスをするなら、YoutubeのMVに歌詞、クレジット全て置いておけば丸く収まるんだけどね。BMSG系アーティストや藤井風くんを見習ってほしい。)
おわりに。
「今は世の中が混沌としている気がしてて。それに怒ってねん俺は。なんやねんコレって思うことが多すぎる。」
KO-HEYさんがラジオで語ってましたが、非常に同感です。いつからなのかわからないけど、世の中の空気はすごく重くなった(し、どこか寂しさを感じてしまう時代にもなった。。)
暗い空気に飲み込まれてしまわないためにも、身近に感じられるような、横に置いておきたくなる存在がいるのは、心強いです。
この混沌とした時代を明るく変えていくためにも、こういう楽曲は必要なのかもしれない。
おまけ
『ANSWER~歓びの歌~』レコーディングに参加した人を以下に記載します。私が調べた範囲内ですが、気になってる人に届いてほしい。
(※名前にXや公式関係のURLリンクを貼ってます。)
オルガン:藤田貴光
ベース:小松秀行