避けて通れない別れを歌っているのに、すごく優しくて爽やか。
2025年5月14日にSkoop On Somebodyがリリースした"SPECIAL feat.Jeffrey "J9" Qwest"は『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』への主題歌にもなった一曲。
世界的ファッションデザイナーであるコシノ三姉妹を育てた小篠綾子さんの人生を描いた映画である。天国に行くか地獄にいくかという、死とは切っても切れない物をコミカルさも含めて形にしている。涙せずにはいられないが、思わず笑ってしまうあたたかい作品だ。
そこにSkoop On Somebodyが捧げた音楽は、悲しみに思い切り浸るのではなく、優しさと爽やかさで寄り添うことだった。
(※以下敬称略)
映画と密接になってた主題歌
今作は2024年の5月頃に主題歌の話を引き受けて、映画製作当初から関わって生まれた一曲である。TAKEが映画の台本を読みながら歌詞から作り、そこにKO-ICHIROがメロディをつけて、KO-HEYがアレンジを担当。TAKEの歌の師匠の一人であるJeffrey "J9" Qwest(以下ジェフリー)もゲストボーカルにフィーチャーしたナンバーだ。
夢の一つであった師との共演が叶った一曲でもある。
サウンド解説
今作も楽器担当のクレジットの記載が無くSkoop On SomebodyとJeffrey "J9" Qwestのみなので、どこまでが生楽器でどこまでが打ち込みなのかはわからない。
ドラムはKO-HEY、キーボードがKO-ICHIROなのは当然だが、それ以外に確認できた情報はギターはサポートメンバーの一人である富永寛之が担当してるということぐらいだ。(なので、おそらくベースは小松秀行であると信じたい。)
全体を通して弾むようなグルーヴが特徴的だが、リズム部分に関してはドラムとタンバリン中心になっている。こっそりボンゴの音も入っていて、リズムの隠し味のような部分を担っており、キーボードは楽器の間を縫ってリズムを刻んでいく。
くわえて、ギターが滑らかな動きで生み出すリズムも加わり、ベースのうねりも程よく感じることができる。イントロやサビ直前で使われてるグロッケンシュピールの響きが心地よく響いてるサウンドが特徴だ。
TAKEの太い歌声はキレがあり、ファルセットになっても流石の安定感である。ジェフリーのシルキーな歌声には非常にしなやかさが特徴的で、どちらも思わず聴き入ってしまうものだ。
声を出したときのアタックの感触が気持ちいい。ここに力を入れて歌うと気持ちよく感じるという場所を的確に狙っており、突き抜けるような爽快感がある。また伸びやかに歌う部分はすっと心地よく耳に入ってくるため、追っかけのコーラスも非常に気持ちよく感じられる。
歌詞について
TAKEは映画の制作サイドから台本を受け取り、歌詞を書いている間は小篠綾子の笑顔の写真をパソコンのデスクトップに表示させていたとラジオで語っていた。元々歌詞は全て大阪弁で書いていたそうだが、主演を演じた大地真央から直接連絡があって修正したとのこと。(私は大阪弁がすごく好きなので、それはそれでちょっと気になる。)
冒頭でも触れたが、これまでの生涯を振り返り、天国へ行くか地獄へ行くかを決めるのが映画のストーリ―なので、どうしても死や別れというものが避けて通れない。
じゃあどうすれば悲しみを少しでもやわらげることができるのか?ということと向き合って出した答えが英語のフレーズ。『DON'T SAY GOOD BYE=さよならは言わないで』『JUST SAY GOOD NIGHT"=ただ、おやすみと言って欲しい』
永遠の別れによる悲しみを優しく包むような歌詞であり、TAKEとジェフリーの優しい人柄を感じられるような部分があると思った。
また、映画のネタバレになってしまうので詳しい話はできないが、『恋に落ちたらアマノガワだってさ かまわない!渡っちゃえ そんな無邪気な人』は主人公である小篠綾子の人柄を上手く書いてるなと思った。
ぇ、そんなことしちゃうの!?やっちゃっていいの???と普通の人が思ってしまうようなやらないことをやってのけてしまう。いい意味で常識を破る姿を映画同様コミカルに表現したフレーズと言えるだろう。
MV・ドキュメントPVについて
映画の映像がところどころに挟まれてるMVと、レコーディングの舞台裏が収められているドキュメントPVがある。MVではメンバーが白を基調とした衣装を纏い、教会と思わしき場所で撮られていて、淡く眩しい光とキャンドルの中でTAKE・ジェフリーの姿が印象である。映画の映像が使われてるだけあって、MVを見ていると映画のストーリーが脳裏で流れていく。
後者は真剣な表情と和気藹々してる姿や笑顔が見えるものとなっている。両者に共通するのは見てて思わず笑顔になれるところだろう。
おまけ:映画館でゴッドマザーを観た話
私は6月上旬に大阪でゴッドマザーの映画を観てきました。(大阪なのは沖縄で上映が無いと思ったので。なお沖縄での上映は7月でした。)
亡くなった祖母が洋裁関係の仕事をしていたので、ミシンを使う後ろ姿や音で思い出が一気にフラッシュバックして、10分立たずで号泣でした。
あと、映画を観終わったあとは「もし私の母に最期が訪れたら……」とかも考えてしましました。私の母が祖母が亡くなったことを受け入れるまで非常に時間がかかっていたし、誰にだって避けられない出来事であるので。
私の母は過保護で厳しいところもあるけど、すごく友達のような人でもあります。一緒に山下達郎のライブを観に行ったら感動してライブ中に手をギュッと握ったり、お酒飲むとめちゃめちゃ面白い人になって、出来上がってディスコナンバーが聴こえてくると未だに踊りだす人です。
どれぐらい時間かかるかなんて全く想像が解決できないけど……もし、本当にそのときがきてしまったら、この曲が現実を受け入れる手助けをする一曲になると私は思います。