この時代に、"Disco"で感じてたものを復活させる為にはどうすればいいのか?
それを手探りで探し求めて追求しているのがSkoop On Somebodyだと思う。
約20年ぶりに復活したDiscotique Nite。一昨年のZepp ShinjukuとなんばHatchで開催されたものは夜の雰囲気が強い曲を中心とした、踊って楽しめるようなライブだった。去年はBillboard Live OsakaとBillboard Live Yokohamaで開催されたが、ほぼノンストップで極上の音を大音量で浴びて、ケタ違いの熱気を感じて踊るライブだった。
今年のDiscotique Niteはステージ上で繰り広げられる音楽に誘(いざな)われて、なすがままに身体を揺らし、踊る。抗うことのできない本能を感じた。
私は'91年生まれでDiscoを知らない世代だ。母はDisco世代だがお酒が入ってるときに当時聴いてた曲をかけると軽く踊りだすことがある。その楽しそうな姿を羨ましく思いつつ、不思議に思うばかりだった。
でも、そうなってしまうのがわかった気がする。Discotique Nite2025では私が生まれる前の空気に触れることができて、その世界を追体験できたように思えた。(同時に、ライブロスも半端ない。)
"Disco"ってこういうことなんだろうなと、平成生まれの私が思ったライブでした。
※以下敬称略
Contents
- 序盤から一気にでヒートアップ
- 予想外を突き破る進化
- 実家ぐらしのバンドマン
- AHO AHOメドレーで『跳ぶ』
- Discotique Niteという魔法で定番曲や最新曲も……!
- おわりに。
- セットリスト
- プレイリスト
序盤から一気にでヒートアップ
DJ SAWADAの選曲でフロアに流れる楽曲がめくるめく変わっていき、軽快なトークで会場が少しずつ温められていくと、"NOTHING EVER CHANGES"でライブの幕が上がった。
序盤からウルトラ寿司ふぁいやー(以下ウル寿司)のスキルの高さを感じさせたのが、翼のコーラス。声が非常にグルーヴのある声をしている。
TAKEはいつも以上に自由に思いっきりライブを楽しみたいというような感じであり、サポートメンバーであるベースの小松と肩を組んだりすることもあったが、その姿は普段と違ってアクセサリーをしている。今宵はいつも以上に特別な夜になることを感じさせる雰囲気を放っていた。
2曲目は"A Streetcar Called Desire"で会場が一気にヒートアップするような展開に。
深みのあるTAKEの歌声に、存在感のあるJぺいの高い声と、まじくんの溶け込むよう声な低い声のコーラスが添えられる。間奏ではKO-ICHIROとサポートAriaが交互に熱すぎるトークボックスプレイを繰り広げる。Ariaのトークボックスは紅一点とは打って変わって非常に情熱的なプレイであり圧倒されるばかりだった。
続く"Through The Night"では翼の生コンガが非常に気持ちいいグルーヴのスパイスとなる。1番サビではTAKEが「ねえDJ!」を「ねえJぺい!」と歌詞を変えたり、「僕だけ見て欲しい」の部分ではJぺいに目隠しをする……だけではなく、2番のサビの「僕だけ見て欲しい」ではまじくんに対して目隠しをしたりして、コミカルな一面も見せた。
3曲終わったところでTAKEがMC兼メンバー紹介をしていく。
「いつもより余計に開いてます、On Bass小松"Sexy"秀行。今日シウマイ弁当食べてたとはとても思えない」と裏側を交えたり「今日はこのためだけに来日しました。On Guitar 知念輝行」と石垣島から知念が来ていることをスケールを大きくして紹介。
今回Discotique Nite初参加のAria、ウル寿司の3人は手短にあっさりと紹介(……ではなく、Jぺい、まじくん、翼それぞれに加えて、ウル寿司についても紹介した。)
バンマス&リーダーであるKO-ICHIROを紹介し、KO-HEYを紹介する際はThrough The Nightのドラムソロを絶賛していた。
予想外を突き破る進化
"Perfume Of Love"ではイントロからサポート知念の太いエレキギターが聴こえてきて、KO-HEYのキックはいつも以上に一音一音魂を込めているかの強く響く。
サポート翼は打楽器を複数使いわけながらグルーヴをより気持ちよくしていくし、そのうえコーラスも担当する。影で非常に大活躍していたことは、ぜひ知っていてほしい。(時折、両手で打楽器を叩くために持ってるスティックを口にくわえたりもしていました。)
間奏になると、KO-ICHIROのファンキーなシンセのうねりが心に直撃する。アウトロでは知念のエレキギターソロに痺れていると、TAKEのフェイクが聴こえてよりいっそう痺れてしまった。
"On the Red Carpet"ではAメロやBメロでTAKEの歌声に合わせてまじくんがサックスの音色で応えいく掛け合いをみせる。終盤になると「何を望むだろう」とTAKEが歌うと、それをJぺいがコーラスで追っかけ、そこにさらにまじくんがサックスで追っかけて繋いでいくのには聴き惚れるものがあった。
そして"みずいろの雨"のイントロが聴こえてくる。予想外を突き破る選曲に「ぇ、その曲くるの???」と内心驚いたが、これが最高にハマっていた。
生ドラムで思いっきり刻まれる4つ打ちキックが身体を揺らさずにいられない、そこに加わる生コンガのビート。Jぺいのハイトーンがリードを担う部分ではまじくんのコーラスがしっかり聴こえて、いい意味でのゾクゾク感があった。
KO-ICHIROのエロピソロになると、KO-HEYがハイハットのオープン/クローズを加えてさらにビートを気持ちよくしていく。2人時代でCoverした打ち込みのサウンドとは完全に次元が違う楽曲になっている。
そしてなんといってもTAKEの歌声である。思い切り歌ってる姿と、その太い声には完全に心を奪われていた。
実家ぐらしのバンドマン
ここでウル寿司も一曲持ち歌を披露することになる。最新アルバム"NEW鰓"に収録された"実家ぐらしのバンドマン"の曲紹介をすると、KO-HEYが"NEW鰓"のCDジャケットが印刷されている大きなボードを掲げて客席に見せつつ、JぺいはSkoop On Somebodyが制作サポートを務めたこと、そしてこのアルバムの物販販売があることを観客に説明すると、演奏が始まった。
楽曲のサウンドはKO-ICHIROの鍵盤のリズムは的確なところで音が入り、絶妙なアレンジを加えたサポート知念のギターが聴こえる。翼はパーカッションを担っており、ハイクラベスの高い音がグルーヴをより気持ちよくしていく。
そして……まじくんの声がすごいを通り越して恐ろしい。
ウル寿司が6人に体制になり、リードボーカルを担うようになってスポットライトが当たるようになってきているけど、ライブで生声を聴いて「この人はすごい」と思った。
一瞬「ホントに声出てるの?」と疑ってしまうけど、コーラスをしていない部分では説明できない物足りなさを感じるし、ときたま声が表に出てきたら鳥肌モノの気持ちよさがある。序盤のメンバー紹介でTAKEがまじくんを「最近ボイトレ頑張ってます」と紹介していたが、もっと声出るようになったら多分化ける人なんだろうなと思えた。
AHO AHOメドレーで『跳ぶ』
Discotique Nite名物"AHO AHOメドレー"は異次元の進化をしていた。ミラーボールの輝きに会場が照らされたひとときは、これまでに体感したことがない高揚感と快感を感じることができ、それがくっきりと心に焼き付く。
DJ SAWADAが"AHO AHOメドレー"の始まりを告げると"In the Stone(Earth,Wind & Fire)"からメドレーが始まり、非常にグルーヴのあるサウンドに会場が一気に盛り上がる。なすがままに踊っているとChorusから少しずつ会場が一体になり始めていく。
"Celebration(Kool & The Gang)"ではJぺいが高い歌声で思いっきりシャウトすることで、よりいっそう会場が盛り上がりステージも観客も一体感がよりいっそう濃くなっていく。"Ain't No Stoppin' Us Now(McFadden & Whitehead)"では至高のグルーヴと共にTAKEが歌い、会場が完全にひとつになっていくのを身体を揺らしながら感じることができた。
そこから"I Like It(DeBarge)"ではJぺいがハイトーンで存分に歌い、TAKEのコーラスが聴こえてとろけてしまう。"Jungle Boogie(Kool & The Gang)"ではTAKEがステージを降りて会場を駆け回り熱気を盛り上げていき、サポート小松のベースラインのうねりとまじくんのサックスの音色が勢いをもったまま滑らかに流れていく。
"Super Freak(Rick James)"ではTAKEはノリノリで太く低い歌声を響かせる……と思っていたらどこかから「北京ダック」「ケンタッキー」という声が聴こえてくる。曲が"U Can't Touch This(M.C. Hammer)"に切り替わっており、KO-ICHIROはAHO AHOメドレーで定番になっている北京ダックを片手に某ファーストフードのようなバケツを抱えており、「北京ダック」「ケンタッキー」と空耳を繰り返していたのだ。
一度曲が止まり、しっかりとKO-HEYにツッコまれて笑いをかっさらっていった。(ちなみに、バケツにはちゃっかりSOSと書かれていていました。)
ラストを飾ったのは"Fantasy(Earth,Wind & Fire)"。TAKE、Jぺい、まじくんの3人が互いを指差したり、観客を指差ししたりして盛り上げていき、身体を揺さぶられるサウンドとKO-HEYのビートを思い切り感じて………
まさかのジャンプ。
ステージ上のメンバーが跳ぶと、こちらもノセられて跳んでしまう。この抗えないなにかがすごかった(し、そんなことをBillboard Liveというハコでやってしまうのもすごい。)
ラストはTAKEがキレキレを通り越したファルセットを聴かせ、大歓声に包まれてAHO AHOメドレーが終了した。
Discotique Niteという魔法で定番曲や最新曲も……!
思いっきり盛り上がったあとは"Hooray Hooray"。何度もライブで聴いてる定番曲のひとつだが、翼のコンガが入るだけでグルーヴが段違いに気持ちよくなる。間奏のシンセソロはKO-ICHIROがグリッサンドマシマシと言ってもいいぐらい、何度も勢いよく流れるように鍵盤の音を聴かせていた。
ラストを飾ったのは、今年リリースされた"SPECIAL"。Jeffrey"J9"Questが歌うパートはKO-HEYとKO-ICHIROだけではなく、Jぺいの歌声やまじくんのサックスの音色が受け持ったり、Discotique Niteならではの特別なアレンジがされていたものであった。
そして、全力で全てを出し切ったとも言えるステージの幕が閉じた。
おわりに。
人間にとって大事な『4つのこと』とDisco
ライブの前にDJ SAWADAが「人間にとって大事な4つのあります。『食べること』『寝ること』『愛し合うこと』『踊ること』」と、語ってました。本当にそうだと思う。
特に『愛し合うこと』『踊ること』に関しては、現代ではほぼ淘汰されてしまってるような気がする。本当にそれでいいのかな……と、ずっと思ってます。
すっかり貞操観念が強まってしまい、模範的で些細な間違いすらも許されない、正義感やクリーンであることに支配されてしまったような時代になってしまって、不純さや不埒さを嫌うようになった。同時に人間が持つ熱や心の余裕も無くなったよね。
なにかすごく大切なものを失ってしまった気がする。
そして、その2つと密接であったのがDiscoだったのかなと。メモ取るの諦めて本能で踊ってしまうライブって今までなかったし、チークタイムってそういうコトに積極的になってしまうらしいし……(今回はそういった蕩けるような雰囲気の楽曲は無かったけど。)
そういった人間に大事な事が思いっきり満たされてたからこそ、ロスも大きくて強烈なのかなとも思っちゃいます。
現代への帳尻合わせ
DJ SAWADAが語った『愛し合うこと』と『踊ること』って、真っ昼間に太陽の下で勤勉でマジメな大人が絶対にできないと思うんです。夜感はもちろん、いい意味でワルい感じや盛り上げるためにイキってる感じも求められる気がする。
そんな時代錯誤なことやったところでダサくて痛いヤツしか見えないだろ……と、思えてしまうかもしれないけど、単純にDiscoの時代と現代の空気感の差異が思わせてるだけの話じゃないかな。例え方としてあれかもしれないけど、ダークヒーローやお祭り男は現代でも失われてないからね。
……とはいえ、男女がいかがわしいコトに積極的になるのは、流石に現代では厳しいと思うけど。でもそれに代わる蕩けるようなひとときは可能かと。
要は、そういった帳尻さえ合わせてしまえばいいだけの話なのかなって。"Disco"の時代に感じてた熱や空気感を上手く現代にハマるようにしていくのは大変かもしれないし、大人の色恋を表現するのも現代では難しいと思う。
だけど、Skoop On Somebodyならそれをできる気がする……いや、Skoop On Somebodyにしかできない。
そう書くと「そんな僕達だけにしかだなんて……」と言われそうですが。いや、冗談抜きでTAKE、KO-HEY、KO-ICHIROの三人にしかできないんです。(きっぱり)
だって、Skoop On Somebodyの真髄ってMellowであり、Groovyであり、Funkyでしょう?
ただの『いい人』であろうとして、そこに対して本気で向き合わないなら……なんにも変わらず、ただただ枯れていき、取り残されてしまうだけの話だだけかと。
変わるとしたら、攻めるとしたら……この感じ、このスタイルじゃないの?
演者、観客(そしてスタッフ)も「もっとやりたい」「もっと観たい」って声を見るのに、出し惜しみのようなことしてるのは何故だろう……なんて、私は思うんですけどね。(※毎回ハイカロリーハイエナジーなライブをやってほしいという意味では無いです。)
あと、いい感じの男女を背中を一押しするような音楽やりたいなら、そんな二人がいるような場所でライブをする感覚の着飾る感じって大切な気がする。音楽を楽しんだあと、二人が夜の闇に溶けていくような雰囲気に合うような着こなし……といえばいいのかな。
公式サイトのBiographyでは自らの音楽を"Perfume Music"(=香り立つような音楽)と称しているぐらいなんだし……なにより、ここまで身体を揺らしたくなるグルーヴを持ったバンドは他に無いからね。
セットリスト
DJパート
(※Shazamで認識できた楽曲を書いています)
Key of Love "live at BIG CAT Jul.11.2001"/Skoop On Somebody
24K Magic/Bruno Mars
I Ain't Never GOT Caught/Yo Gutta
Never Got Enough/Chatlie Wilson
Stayin' Alive/N-Trance,Ricrado Da Fouce
Play That Funky Music/Wild Cherry
Ain't Gonna Bump No More(With No Big Fat Woman)/Joe Tex
Come Get To This/Marvin Gaye
Isn't She Lovely/Stevie Wonder
Happy Birhday - UK12" Version/Stevie Wonder
Love Never Felt So Good/Michael Jackson
Relight My Fire - Single Version/Dan Hartman
It Onlly Take A Minuts/Tavaraes
THROUGH THE FIRE/GTS,Melodies Sexton
Wish I Didn't Miss You/Angie Stone
Back Stabbers/The O'Jays
September/Earth,Wind&Fire
The Boss/Diana Ross
Get Ready/Rare Earth
CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU/Boys Town Gang Band
ライブパート
NOTHING EVER CHANGES
A Streetcar Called Desire
Through the Night
Pefume Love
On the Red Carpet
みずいろの雨
実家ぐらしのバンドマン
〜AHO AHO メドレー〜
In the Stone/Earth,Wind&Fire
Ain't No Stoppin' Us Now/McFadden&Whitehead
I Like it/DeBarge
Jungle Boogie/Kool&The Gang
Super Freak/Rick James
U Can't Touch This/MC Hammer
Fantasy/Earth,Wind&Fire
Hooray Hooray
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