「今回のツアーは3公演観に行くことができました!」「1st、2nd両方観ました」「東京day1、day2、千葉、横浜の4公演観ました!」「10公演観に行きました!」
と、いう感じの投稿をSNSで見たりラジオで聴いたりすると、そんな人生一度でいいから歩んでみたいなぁと思ってしまう。同時に好きなアーティストに対する醒めるような、なんとも言えない感情を抱いてしまうのは『地方民あるある』だと思う。
だけど、地方民はライブを観に行くこうとするだけで、交通費や宿泊費といったお金がかかってしまうのが現実。
チケット1枚が実質チケット2、3枚の金額になる。それが地方民。
こればかりは都会で生まれ育った人間には一生かけてもわからない感覚であり、来世は地方民に転生でもしないと理解できないものなんだろうなぁ……とも思う。おまけに昨今は、コロナ禍が落ち着いてしまったのと『推し活』の人気っぷり(と、おそらく資金回収力)も相まって、地方在住だと音楽との距離が遠くなった気がする。
とはいえ、都会の人間とは『わかりあえない』なんて思って諦めると、音楽は都会の人間か金持ちの道楽に成り下がるだけだ。そんなの絶対に嫌だね。
だって、エンタメを作る側は主に都会にいる人達なんだし、たとえ100%完全に理解できないとしても、なにも言わないよりは絶対に言ったほうがいい気がする。
……と、言うことで。とある地方民がライブを観に行く際にかかるお金の話や、配信ライブの重要性について書いてみようと思う。
- 沖縄から大阪に行く場合
- 今月は東京に行きますが
- 配信ライブは地方民にとって『救い』
- 結局、会える人だけが『お客さん』なの?
- 音楽は都会の人間と金持ちのための道楽なのか
- おわりに。キッカケは今年のS.O.S.でした。
- おまけ
沖縄から大阪に行く場合
沖縄から大阪のライブを観に行く場合、当然だが移動手段は飛行機オンリーになる。空路しか選択肢がない。Peachのセールと被ったらそれが一番安いけど、価格が安定してかつ長時間滞在できるのが現時点の沖縄では神戸ルート(那覇→神戸→三宮→梅田)である。(そもそもPeachは運転がマジで荒くて遅延・欠航率も高い。なんなら私は大雨で搭乗口で4時間待ちの経験がある。)
ライブチケットと神戸ルートの航空券、ホテルの宿泊費がこんな感じ。
日付:2025年6月3日(火)・6月4日(水)
チケット(VIPチケット):25,000円(※通常チケットは8,800円)
往復航空券(那覇⇔神戸):13,280円
ホテル(梅田駅近辺・風呂トイレ有りビジネスホテル):6,800円
ライブチケットが取れたあとにホテルや飛行機をすぐに予約しても、航空券やホテルで実質20,000円の金額が上乗せされる。ライブチケットを2枚買ってもお釣りが来る金額。
また、このときはVIPチケットを購入したが交通費(地元から空港に行くまでのバス代、神戸や大阪での電車賃)を追加すれば25,000円に届く。
VIPチケット購入したときはクレジットカードの明細を見て気絶したけど、改めて計算するとVIPチケットもう1枚分の諸経費をかけてライブを観に行ってるという。控えめに言ってどうかしてる。
ちなみに、切り詰めるところは切り詰めてこれだったりする。これ以上はカプセルホテルやドミトリーに泊まる、食事全般をコンビニ弁当やファストフードにする、お土産を一切買わずに帰る……かな。
大阪旅行するぐらいならせめてインデアンカレーや551やKYKのお弁当ぐらい食べたいし、お土産にりくろーおじさんのチーズケーキや551の豚まんぐらい買わせてよ。帰ってきても大阪の余韻に浸りたいよ。
もしくは……ライブ後にソウルバーへ行くことを断念する。でもこれは絶対に嫌だ。地元に音楽を語れる人間なんて誰もいないし、金額も抑えてハシゴも諦めてる。これを切ってしまうとライブ観に行ってとんぼ返りするようなものだ。旅の醍醐味 is 何?になっちゃう。
今月は東京に行きますが
ちなみに今月は東京に行くけど、もっと恐ろしいことになるんです。
7月31日にチケット当選の確認メールをみたあと、秒で徹底的に安いプランを探したけど、一番安いのが某予約サイトの航空券・ホテル込みのパッケージプランでした。
日付:2025年10月18日(土)・10月19日(日)
チケット:10,000円
航空券+ホテル:33,900円(※宿泊先は山手線東側エリア)
大阪と比べて13,820円高くなる。航空券とホテル代でライブチケット3枚分超え。マジで東京じゃなくて東狂と言いたくなるよ。財布がオーバーキルだっての。
……本当は山手線西側(新宿近辺)に泊まって、終電気にせず体力と予算が許す限りソウルバーにいたかった。でも、それだと40,000円以上の世界になってくるので断念しました。最早インフレがエグいとかのレベルを通り越した金額過ぎる。
それぐらい、地方民はカツカツの状態で地方を抜け出してライブを観に行ってるんです。
配信ライブは地方民にとって『救い』
だからこそ、コロナ禍によって配信ライブが普及したのは本当にありがたい話だった。ライブを身近に感じることができて本当に嬉しかった。
音楽は空気の振動だから、ライブ会場で生音を浴びるのとでは魅力が半減しちゃうかもしれない……とはいえ、地方在住の人が感じる疎外感や、ただ思い焦がれるだけしかできない状況を変えたから、配信ライブは地方民にとっては救いの光といっても過言ではない。
地方民にとってライブとは高嶺の花。コロナ禍以前は指をくわえて雑誌やネット上に書かれる感想を眺めるだけだったけど、配信ライブのおかげで届かない花にわずかだけど触れることができるようになった。
配信というフラットな環境によって、都会に住んでいる・地方に住んでいる関係なく、皆でライブを楽しめる場所が生まれた。たとえリアルでは一人であっても、ネット上で配信を見た同士で語り合うことができたり、ライブ配信中はチャットやSNSでワイワイ盛り上がることだってできる。
一人だけど、一人じゃない――配信ライブは地方という壁が隔てることによる『孤独』もやわらげてくれた。
また、私はコロナ禍の配信ライブがキッカケで生で音楽浴びたいと思うようになり、本土にライブを観に行くようになった。1回でも多く観に行けるにはどうすればいいのか(言うてそれでも年2、3回が限界だけど)試行錯誤するようになった。これは私だけに限った話ではないと思う。
きっと、配信ライブは多くの地方民を変えたんじゃないかな。地元を飛び出してでも、年に1回ぐらいはライブを観に行けるような計画を立てる人は絶対に増えたと思う。
結局、会える人だけが『お客さん』なの?
だけど、コロナ禍の頃と比べて昨今は配信ライブがどんどん減ってきている。冒頭でも触れたけど、好きなアーティスト対面できる『推し活』の勢いがある(のと、おそらく資金回収力が強い)からだと思う。
これだけ便利な時代であっても、結局は直接会える人だけがアーティストにとっての『お客さん』ってこと?配信が普及したことによってライブを観るようになった人っているけど、そういう人達の存在 is 何?
配信ライブが減ってきてるのは、おそらく「配信は利益が薄い、手間がかかる」「ライブのチケットが売れなくなったら本末転倒だ」という理由なのかなと予想してる。たしかに、ただ撮って出しの映像で成り立つわけでは無く、どのカメラの映像を使うか考えたり音源に手直しも必要になるから、手間がかかると思うんだ。
でも、それによって繋ぎ止められる観客もいる。地方民には「どうせ配信あるだろうから会場まで観に行かなくてもいいや。」なんて感覚はない。本当はめっちゃくちゃライブを観に行きたいんだけど、行けない悔しさを抱えて「配信がありますように」と、祈ることしかできないの。配信でも見れるだけも「本当にありがとう」って話なんだよね。
だけど、対面至上主義みたいな感じになりつつある昨今のライブビジネスは、そんな淡い願いすらも踏みにじってるように思える。目に見えるお客さんだけを手厚く扱って、見えないお客さんは切り捨てるみたいだ。
音楽は都会の人間と金持ちのための道楽なのか
音楽は都会も地方も関係なく格差なく楽しめるような世界であってほしい……と常に思っている。
インフレが続くことによってアーティストが地方でのライブ開催が厳しくなっていること、地方民がライブを観に行くことが難しくなっている現実はどうにもならないし、レコードバーが地方には存在しないのも変えることができない気がする。
このまま音楽は贅沢品となり、都会の人間と金持ちのための道楽に成り下がってしまうのだろうか。
そんなことは絶対にあってはならない。そのためにも、アーティストや音楽業界に携わる人は、より多くの人に音楽を聴かれるための方法を考えるべきだと思うよ。配信ライブはもちろん、たとえばツアースケジュールの早期発表や観客がチケットの確保を早くできれば、宿泊費や交通費が下がってライブを観に行きやすくなる。
これだけ便利な時代だから補う方法はいくらでもあると思うんだ。
おわりに。キッカケは今年のS.O.S.でした。
今回、この記事を書こうと思ったのは今年のSkoop On Somebodyの『Club SOS 2025 “YOU ARE SPECIAL”』のスケジュールや公演内容です。
ライブツアー初日にセトリ曲を一部変更した形で行う『Club SOS 2025 Season2 “YOU ARE SPECIAL”』の発表し、各公演の終了ごとにSeason2の開催日を発表していく。
6月に夏のツアースケジュール出されても、航空券とホテル代が天井突き破ったような価格なので無理。冗談抜きでSeason2が今年の私のライブ納めになってしまう。悔しいけど配信ライブがあると信じていたら『club SOS 2025 “YOU ARE SPECIAL” Live on Screen』という形での上映イベントの発表。
9月16日発表で10月12~13日開催。アーティスト側はスケジュールが決まった地点でホテルも交通手段も全て抑えることができると思うけどさ、1ヶ月前予約の交通機関や都市部のホテルの金額がエグいのわかっててやってるの?って話だよ。
KO-HEYさんがスペースで「配信は無いです」と言ったときに悔しさと怒りが大きかったし、秋葉原公演終わったあとのSNS見てると疎外感や虚無感が半端なかったです……。
どうして全国を回るツアーをしているの?なぜメジャーで活動しているの?と非常に思いました。
もしかして、他の界隈もこうなっているのかなと思ったし、こういったエンタメの地方格差はコロナ禍以前よりも悪化しそうなので、この記事を書きました。
この記事を読んでいる地方在住の人は、自分自身の好きなアーティストに配信ライブ等の大切さをSNSやラジオのメール等でちゃんと伝えてほしいです。内輪で話したところでアーティストやスタッフには届かない。だからなにも変わらない。耳が痛い言葉かもしれないけど……それが現実なので。
また、音楽に携わってる方は地方在住の人のファンの方を少しで良いので考えて欲しいです。お願いします。
最後に……現在も配信ライブを続けている全てのアーティストには敬意と感謝を。
以上、5000文字以上の長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!
おまけ
私の周囲には地方在住の音楽好きの友人がいないので、Chat GPTならモデルケースを考えて本土の地方在住の人がかかる交通費を割り出してくれると思ったので質問してみた。
こちらにURLを以下に貼っておきますので、気になる人はどうぞ。
あと、Togetterまとめも都会・地方のエンタメ格差について書かれてた物がありましたので、よろしければぜひ。