北海道出身シンガーソングライターのKEI_HAYASHIさんが2月26日に『大逆転』をリリースしました。今回、ご縁があってリリースインタビューが実現し、たっぷりとお話を伺っております。
後編は楽曲インタビューです。大逆転はもちろん、去年から一昨年にかけてリリースされた楽曲(アフロディジアック、One Summer Love、LOVE)についても語っていただきました。
- あっさりと、さらっと、シルキーに――オールドR&Bではない“最近っぽさ”
- すごく変な貞操観念があるなと思って
- Soratoくんの1個1個用意してくる音色は刺激的でした。
- お互いの念願が叶った”LOVE”という楽曲
- 実はマイクを8本使ってあのピアノの音色を作り上げていて。
- 寝かせている時間が長かった『大逆転』
- 他人が作ってくれたものは、自分の作品よりも拒否反応なく入ってくる。
- いわゆるファミコンぽい絵柄
- リスナーさんともっともっと密な関係を築いていきたいです。
あっさりと、さらっと、シルキーに――オールドR&Bではない“最近っぽさ”
――新曲『大逆転』のお話を伺う前に、ジレンマ3部作(What If、Stay Gold、昨日より今日を好きになった)以降の楽曲についてお聞かせください。まずは『アフロディジアック』についてですが、この曲、一時期本当に中毒性があってすごかったです。
KEI_HAYASHI(以下KEI):ありがとうございます。
――特に、サビになると下のハモりが出てくるじゃないですか?そこで感じることができる表裏一体感、ぎゅっと凝縮されるナローなコーラスのちょっと強みというか。
KEI:うんうん。
――それがすっごく好きです。サビ終わって2番のAメロになったらグッと声が低くなるのが、R&B特有のワルい感じというか。
KEI:ありがとうございます!
――ボーカル ディレクションとかは大変でしたか?
KEI:そうですね……ちょっと前の作品なので記憶が定かではないけど、『アフロディジアック』は全部家で録ったんです。歌も。
――全て家で!ボーカルも?
KEI:そうです。他の曲は、全部ディレクターさんに入ってもらって、ボーカルはレコーディングスタジオで録ってるんですが、あの曲だけは、たしか一人きりで家で録った記憶があります。
歌う時に意識したことは……ネバっぽくなりすぎないというか、なるだけこう、あっさり載せるようとしたというか。音楽そのもの、トラック自体にすごくそのクセがあり中毒性があってかっこいいビートだったので。
――もう少し詳しく教えて下さい。
KEI:少し長くなりますが、R&Bの歴史ってすごくジャズと似てるなぁと思うんです。例えばジャズって『ビバップ』っていうチャーリーパーカーやジョンコルトレーンが一世を風靡したジャズがあって、めちゃくちゃこう「ソロ取りまくって熱い熱い汗かきながら吹く!」みたいなジャズなんですが。
それに対して、そのあとには『クールジャズ』って呼ばれる、マイルスデイヴィスが始めたジャズがあったんですね。それが1960年代ぐらいで……20年ぐらいで前の時代に対するアンチテーゼみたいなのが始まってるんですよ。
――R&Bも同じように変遷していると
KEI:そう。すごく熱い歌い上げるようなサックスソロに対してその後のジャズってのは、どっちかっていうと「いかにクールに音数減らすか」みたいな時代になるんですね。R&Bの進化もそれにすごく似てるなと思っていて。
それこそ2000年代頭のR&Bっていうのは、Boyz II Menとかブライアン・マックナイトみたいに『ボーカルのスキルを前に押し出す』っていう時代だったと思うんです。
――たしかに。2000年代のR&Bって本当に“歌唱力勝負”な感じがありましたよね。
KEI:2000年がいかに「オレの歌上手いだろう!」みたいなそのR&Bがあったとしたら、2010年代ぐらいからのR&Bはそれを隠すようにさらっと歌うみたいなものがすごく流行って。
ポップスといえばポップスだけど、例えばアリアナ・グランデの7 ringsとか。あのへんってとんでもない歌唱力スキルを持っているけど、いかにあっさり聴かせるかみたいな時代になってたいたなっていう。『アフロディジアック』の時はなるだけそういう、オールドR&Bじゃなく最近っぽさ、あっさりさという部分をすごく意識して歌いました。
――さらっと、軽やかに歌うことを意識されたのでしょうか?
KEI:そうですね。さらっと、軽やかに。もう一つ足すとしたら、シルキーに高音が出るような感じを意識しました。
すごく変な貞操観念があるなと思って
――サビの部分の『真赤に火照った身体をwant me more』『真っ白な心でwant me more,want me more』の部分とか、すごくさらさらと流れていく感じがありますし、「真赤」と「真っ白」、「身体」と「心」の言葉の対比と語感の気持ちよさがあってすごく好きです。
KEI:ありがとうございます。歌詞の世界観っていうのは、まぁちょっとどろっとしたっていうか、セクシーとはまた違くて……いわゆるセックスレスに悩む人って、今、日本ですごく多いなってふうに思っていて、そういうメッセージを込めた曲だったんです。
あんまり普段人に言えない悩みっていうので、セックスレスっていうのはもっともっとオープンに悩みを明かしていい問題の一つなのかな?と、いうふうに思っていて。
――そうですね。
KEI:どうしても言いづらいけど、意外と悩んでる人も多いみたいな。まあそんなもん忘れちゃえばいいじゃんというような感じでもあったけど、悩んでることを「悩んでるよ」って言えるようになったらいいな。ということを思っていて。
そういう「あえてセックスレスっていうのはR&Bで歌ったらどうなるんだろう?」っていうのもあったので。テーマがちょっとどろっと重たい分なるだけあっさり軽く歌うっていうのもありました。
――言いたいことがあっても、ちょっとセクシャルな部分になると踏みとどまってしまう。昔に比べるとすごくそういう時代になってますよね。
KEI:そうなっていると思います。すごく変な貞操観念があるなと思って。国民性的に。夫婦のセックスの話はしないけど、例えば「風俗行ったよ」とかを平気で言える人もいるじゃないですか。変に動作している感じもあるなっていうのも感じていて。
――すごくわかります。ちょっとは受け入れてもいいんじゃないかなと思います。
KEI:そうですよね。なので、どろっとした思いもこの曲には詰め込みました。
Soratoくんの1個1個用意してくる音色は刺激的でした。
――続いて、『one summer love』について教えて下さい。すごくチルな感じのキラキラとした鍵盤のサウンドがおしゃれで、キックやベースといったロー(重低音)がガツンとくるので、自然と心地よく身体が揺れちゃいます。
KEI:ありがとうございます。
――グルーヴ感がすごく気持ちいいですが、作曲する際に意識したことはありますか?
KEI:作曲はいわゆるコライト(Co-Write/複数人での作曲)という感じですね。
Soratoくんというビートメイカーと一緒にそのスタジオに入って、4時間ぐらいかけて作ったトラックなんですよ。本当に2人で作ったっていうか、自分がピアノでコードを弾いたらSoratoくんが「じゃあ、こんなキックのパターンどうでしょう?」みたいな感じで。普段一人でやってることを、あえてこう人を入れてやるっていう意味ですごくクリエイティブな作業だったんですね。
二人で作って音源が出来上がったんですけど、そこにですね「やっぱりちょっとグルーヴもっと欲しいな」というふうになっていって。私がよくお世話になってるベーシストに、最近DEENや様々なアーティストのサポートをされてる石田純さんにお願いしてですね。
デモだけお聴かせして「ベースラインの流れとかは全部お任せします」と言って、石田純さんにベースラインはほとんど組み立ててもらったみたいな一曲です。
――じゃあもうローの部分、ベースに関してはもう石田さんに全部お任せしていったということですね。
KEI:そうです!だからあの曲のグルーヴは純さんのおかげです(笑)
実はこの曲、すごく生楽器が入っているんです。ギターもかなりたくさん入っていて。「なんかコンパクトに2時間ぐらいで作ろう」って言ってたとこから始まったのに、結局、いろんなミュージシャン、ギタリストとベーシストにも参加してもらって、なんか実は豪快なサウンドになっているという一曲です。
――Youtubeのコメントでは「学生に戻ったように無邪気に製作をしました……と書かれてましたが、Soratoさんから一番音楽的に刺激を受けた事ってなにでしたか?
KEI:Soratoくんはたしか同い年か僕の一個下ぐらいで、年齢も近かったんですけど、とにかく音色がかっこいいんですよ。Soratoくんの1個1個用意してくる音色にはすごく影響を受けたというか、刺激的でしたね。
例えばエレピ1つとっても「じゃあエレピの音でフレーズ入れたいな」って言ったら、「こんな音色のエレピどうですか?」みたいな感じで、最近っぽいエレピの音をちゃんと用意してくれる。ベースの音とかは「こんなのどうですかね?」といって出してくれる。
音色の選定はSoratoくんに任せたんですけど、そういう音色の選び方、ひとつひとつがなんか最近ぽくてすごくセンスがいいなぁっていうのが、刺激的でした。
――自分では絶対使わないっていうような音色をSoratoさんが「どうですか?」と案を持ってきてくれると。
KEI:そうそう、その通りです。自分はどちらかというとその音色を選んだりというところが苦手な方なので、そういう意味ではそこをすごく補完してくれる存在としてSoratoくんがいてくれたなという感じですね。
お互いの念願が叶った”LOVE”という楽曲
――”LOVE"のお話ちょっと伺いたいんですが、飯田貴之さんとのお仕事は’21年リリースした"CANVAS"での作詞共作以来になりますが、飯田さんが楽曲をプロデュースするに至ったきっかけを教えていただけますか?
KEI:私のマネジメントチームが飯田さんとお仕事で繋がっていたことがきっかけでした。飯田さんにライブを観に来てもらったのですが「すごくKEIくんの歌いいね」って言ってくれて「一緒に音楽やりませんか?」というラブコールを頂いて「こちらこそ是非お願いします!」というの流れでした。
――KEIさんの初期活動に飯田さんがライブを観に来ていて、ずっと「音楽を一緒にやりたい、やろうね。」と話していて念願が叶ったという形ですかね。
KEI:はい。結構最初の頃のライブだったと思います。
――"LOVE"ではKEIさんがラジオなどでも好きと語っているリリースカットピアノによる打楽器感が強いピアノの音が多用されていたり、サビを派手に盛り上げる ホーンセクションがあったり。暗い現代を文字通り愛で眩しく照らすような感じがあって、素敵です。
KEI:ありがとうございます。
――この楽曲作る時には、飯田さんがメインになってたんでしょうか?
KEI:そうですね。アイディアもたしか飯田さんから。
最初はすごくざっくりなコンセプトで飯田さんと曲作りをすることが多いんです。例えば「テンポこのくらいで」「こんな感じの曲どうかなー?」っていうとこから始まって。
それで、多分5曲から10曲ぐらいデモを飯田さんに送って「このなかでどうですか?」みたいなところから始まった曲です。その中で1曲が"LOVE"の原型で。
このデモを聴いて本当にそこから飯田さんが「じゃあこんなアレンジの方向どうだろう?」「ホーンセクションもあれぐらい入れたいね。」っていうのも、ある種飯田さんのアイデアっていう感じですね。
実はマイクを8本使ってあのピアノの音色を作り上げていて。
――そこからどのように楽曲が形作られていったのでしょうか?
KEI:さらにデモをブラッシュアップした楽曲を、最終的にはグラミー賞にも輝いたMASA TAKUMIさんがアレンジをしてくれたんです。飯田さんと僕がやり取りしたものをMASAさんに送って、それから、MASAさんがさらにブラッシュアップして……みたいな感じで作りました。
先ほどお褒めいただいたピアノですが、あれはMASAさん家にある アップライトピアノを使って、実はマイクを8本使ってあの音色を作り上げていて。ピアノって録るとき大体マイク2本くらいなんですけど。
――8本も!?
KEI:そうなんです!僕も初めてで。ああいうアップライト系のピアノの音色にしよう!っていうとこは決まっていました。所謂ソフト音源みたいなもの使用していたのですが、「やっぱりもっと生感があったらいいよね。」みたいな。
で、よりちゃんとしっかりローが出るピアノで収録したいなっていう話をしてたら、MASAさんが「じゃあこういうマイクの使い方があるよ」っていうので、床にもマイクを置いて床の反響も拾うっていう。
初めてやったけど「こういうやり方もあるんだな。」と。そこはすごく刺激的な感じでした。
――私もすごく驚きました。床にまで置くんですね。
KEI:そう。床用に置くマイクっていうものあって。 それに加えてすごく近づけたマイク、中ぐらいもの、すごい遠いマイクでそれぞれ2本ずつ。そこからさらに床にも二本みたいな感じで。計8本のマイクを使いました。
――とても綺麗な音でピアノが録られているなぁと思ってましたが、相当こだわってたんですね。
KEI:そうですね。しかもあれはMASAさんのスタジオのピアノなんですが、聞いたら「KEIくんのLOVE作るために買ったんだよ」って言ってました。アップライトピアノを(笑)。
――すごい!
KEI:「やっぱりあんまり使わないから売っちゃった」って言ってました(笑)
――本当にLOVEのレコーディングだけのために!?
KEI:LOVEと、あとMASAさんがリリースされた3曲4曲くらいしかレコーディングで使ってないって言ってました。初めてMASAさんが買ったピアノを初めてレコーディングに使ったのが実はLOVEだったという(笑)
――すごい方ですね。
KEI:豪快でしたー!
寝かせている時間が長かった『大逆転』
――それでは新曲 大逆転についてのお話を伺ってもよろしいですか?
KEI:もちろんです!
――まず「大逆転」というタイトルはインパクトがあるなと思いました。このご時世、タイトルは一瞬で興味を引くことが大切だと言われていますが、「大逆転」という言葉にはまさにその力があると思います。
KEI:ありがとうございます。
――今作は”LOVE”と同じく飯田さんとの共同プロデュースですが、KEIさんはどこまで楽曲を担当されましたか?
KEI:作曲とアレンジを私は担当しました。 飯田さんは作詞を担当していただいて、ミックスエンジニアはすごく有名な方にお願いしました。
――曲の方が先ですか?それともいわゆる『詞先(歌詞から先に作る)』ですか?
KEI:いや、これは曲先です。
――曲から作り始めて、ある程度形にしてから飯田さんに歌詞を書いてもらって、アレンジしたのでしょうか?
KEI:飯田さんがサウンドプロデューサーって形で入ってもらってたので、”LOVE"と同じような感じです。なんもない状態から飯田さんとミーティングして「こんな曲どうかな?次の曲どうかな?」みたいな感じから始まって、それでこちらがデモを何曲あげた中の1曲って感じですね。
それから、だいたいメロディーと大枠のサウンド先に完成させてで、それでこう。あの「そこにじゃあ歌詞に乗っけてください」というような感じでした。
――そうだったんですね。飯田さんとやりとりをして、歌詞が届いて最終的に形にするまではどれぐらい時間がかかりましたか?
KEI:いやぁ……どれぐらいかかったんだろう。この曲も結構、その最初のデモができてからリリースまで、ずっと作業してたわけではないんです。他の曲を作ってみたりとかっていう期間が大分長かったんですね。多分……1年以上寝かせてたんですよ。
だからなんかどれぐらい作業したかっていうのが明確には覚えてないというか、そういう感じ(苦笑)
――ちょっと進めて寝かせて進めて……で1年ぐらいかかったという形で。
KEI:そうですね。ギュッとしたらどれくらいなんだろうかはわかんないけど……ギュッとしたら所感としては多分1、2週間ぐらいなんじゃないかなと思うんですね。ギュッとしたら。
――制作には時間がかかってなけど、寝かせている時間が長かったという感じでしょうか?
KEI:そうです。
――ドラムンベースならではの細かく刻んだピアノやストリングスやテカテカしたサウンドが明るく弾む感じがあると思いましたし、あとレギュラーラジオで語っていた声の加工やブレスの音でグルーヴに勢いをつけているのは驚きでした。
KEI:ありがとうございます。
――KEIさんがこだわったというDメロですが、BPMがすごい速い曲なのにストリングスが軽やかに流れていく感じはすごく美しいなと思ってます。音作りは大変でしたか?
KEI:ありがとうございます。 そうですね、でもなんかDメロのストリングスを作るのはすごく楽しかった記憶があるんですよ。
Dメロのストリングスは、たしか一番最後に乗っけたんですよね。フルコーラスある中でDメロ以外のアレンジはばーって完成してる状態でレコーディングして、最終的なホンチャンのレコーディングをして、そのあとにミックスエンジニアさんに渡す期間の間に付け足したストリングスフレーズだったんですよ。
――最後にちょっとこれ入れたらもっと良くなるんだろうなと足したものがDメロのストリングスだったと。
KEI:はいそうです!そういう意味では難しかったというより、すごく楽しかったです。
他人が作ってくれたものは、自分の作品よりも拒否反応なく入ってくる。
――KEIさんご自身で歌詞を書いていない楽曲を歌う時にレコーディングのアプローチの仕方とか気持ちの乗せ方って変化はありますか?
KEI:それが、意外となくてですね。
――特にはないと?
KEI:どっちかっていうと、気持ちが「乗せやすい」か「乗せづらいか」っていうので言うと、人の書いたものの方が客観的に気持ちは乗りやすいなっていうのは思います。自分で書いたものって、どこかで自分の主観が強く出てくる分、迷いとか葛藤とかもそのまま反映される感じがあるんですけど。
それってなんでも一緒で、僕、料理とかするのも好きなんですよ。でも自分の料理には結構文句言いがちなんですよ。自分で作っといて(笑)
――そうなんですね。
KEI:例えば自分だったら、サラダにドレッシングかけた時とかも、どれだけドレッシングをかけるかで結構自分を責めたりするぐらいなんですよ。「あー、ドレッシングかけすぎちゃったな」とか。
他の人がドレッシングかけてくれたもんだったら何の文句も出ないし「こういうもんなんだろうな。」って美味しく食べれるタイプなんですよ。
――居酒屋とかでもありますね。そういうサラダって。
KEI:そう。なんかあの別で渡されるとすごく嫌なんです。居酒屋とかでドレッシングあとがけとかになってるぐらいだったら、もうかけて持ってきてくれれば何の文句もないのになっていうタイプなので(笑)
――サラダがテーブルに運ばれたあと、「ドレッシングの方はお客様でどうぞ」って一緒に置かれると「えー……」みたいな。
KEI:「えー」というよりかは、「どんだけかければいいんだろう……」と自分の中で迷いを生じちゃうから。
人が作ってくれたものっていうのは、すんなり受け入れられるという性格なんだろうなと思います。自分の作品よりも拒否反応なくすーっと入ってくるんですよ。だから人の作品で歌うっていうのはすごく楽しいです。
――大逆転の楽曲のお話に戻りますが、ドラムンベースはKEI_HAYASHIとしては初挑戦でしたが、今までドラムンベースやブレイクビーツみたいな楽曲は作られたことがありますか?
KEI:ブレイクビーツみたいなもの、ドラムンベースは本当に初めてだったけど、例えば2ステップとか、ブレイクビーツみたいなものはちょこちょこ作ったことはあります。
――そうなんですね。では今回こういうジャンルに挑戦して得たものや、久しぶりに作った感触とかってどうでしたか?
KEI:そうですね……自分の作品だったら今まで「この曲をじゃあジャンルに特定すると何ですか?」って言われた時にパッと答えられないような曲が多かったかなと思うんですよね。
なんとなくR&Bだし、なんとなくポップスだし、なんとなくソウルだし……みたいな。そ
のいわゆる 「ポップス」というジャンルっていうか、色々ごちゃ混ぜにしてドンって感じだったけど、今回はなんか明確に「これはドラムンベースですっ!」っていう風にして言えるぐらい、ドラムンベースに仕上がったと思います。
直球勝負みたいな感じですごく楽しかったし。本当にそのジャンルが好きな人が聴いた時に「これはちゃんとドラムベースしてるね!」って言われたいなと思って頑張ったんですよ。
――昔、ゲームミュージックでドラムンベースやブレイクビーツを聴いていましたので、私はちょっと懐かしくなりました。同時に、KEIさんの斬新で新たな扉が開いた感じもしました。
KEI:真っ向勝負で挑戦したというのは、なんかこう作品作りへの次の影響としてはある種、勇気になるかなという感じですかね。
――これがきっかけでなにか素敵な曲が生まれるのを楽しみにしております。
KEI:ありがとうございます。 頑張ります。
いわゆるファミコンぽい絵柄
――ジャケット、ドット絵のKEIさんすごく可愛いです。普通にグッズにもなっちゃいそうなぐらいに可愛いなと思ってました。
KEI:(笑)。ね、あれかわいいですよね。あのジャケットを担当したデザイナーの方も飯田さんのご紹介で。
――そうだったんですね。
KEI:そこも含めて飯田さんがプロデュースしてくれて。
ジャケットのことと言えば、レコーディングの時にマネジメントや飯田さんと4、5人ぐらいで話した時に「いやなんかゲームっぽいのがいいな」って言ったら、飯田さんも「いや~、自分もそれ思ってたんですよ」って言って。
わりかし満場一致で皆そんなこと思ってたみたいな感じになったんです。
――皆、考えてたことが同じだったと。
KEI:「いわゆるファミコンぽい絵柄がいいよね」みたいな。そしたら飯田さんが「ああ、じゃあ、こんな私の知り合いにいますよ 」っていうところで紹介してもらったっていうか。で、何個か案が上がってきた。
多分、飯田さんとそのデザイナーさんの方はすごくやり取りしていただいたんだろうけど、そこは全然もう私はノータッチで。タイプABCぐらいで上げてもらったやつで「これがいいね!」ぐらいなことしか自分はやってないんですけど。
だから「めっちゃ可愛いな」っていう印象でした。自分も。
――私、結構ゲームが好きでRPG(冒険物)をよくやってるんですが、主人公が大きな壁にぶつかって困ってるときにKEIさんの元を訪れてアドバイスをもらって、ストーリーが動くんだろうな……というイメージです。
KEI:(笑)。いや、たしかに。いやでもすっごいセンスあるなと思いました、あのジャケットは。
――出勤前とかに『大逆転』を聴いて「頑張ろう!」みたいな、やる気スイッチを入れるような。そういうリスナーに寄り添う 1曲でもありますよね。
KEI:ああ!そうなっていただけたらすごく嬉しいなと思います。
――きっとそうなると思います。天気悪い時って憂鬱になるじゃないですか?そういう時に「よっしゃ頑張ろう」みたいな感じで再生して、職場や学校へと向かう。どんよりしたものを晴らしてくれるような一曲だなと思いました。
KEI:ありがとうございます。まさにそういうふうに聴いていただけたら幸せです。
リスナーさんともっともっと密な関係を築いていきたいです。
――今後の展望とか 挑戦したいこと、2025年のKEI_HAYASHIはこういうことをやりたい!みたいなものってございますか?
KEI:2025年になって自分自身もそうだし、私のマネジメントチームでも変化があってですね。それこそ、新マネージャー阿部さんが2024年の終わりから参加していて、そういう意味で新しい刺激をもらっています。
改めてこうやってきた中で、自分の中でやきもきしたところとか、思うような結果が出せてなかったところとかも、もちろんあったけど、その中で新しい人が加わってくれてすごく、アイディアとかをくれて、いろいろ新しいことに挑戦していきたいなという一年ですね。
具体的に言うと、今までのよりも多くリリースする事っていうのはやっぱ今年は絶対目標にしたいですし、ライブ活動っていうのも、今までってわりかしこう数ヶ月に1回ぐらいのペースとかが多かったけど、毎月毎月どこかでは必ずライブをしていくっていうところは、挑戦として大きな目標ですね。
――リリースもライブも積極的に行動していくという形でやっぱりリスナーさんともっともっと密な関係を築いていったり。
KEI:そうですね。リスナーさんともっともっと密な関係を築いていきたいです。
裏方から表方になった理由の話にも戻るんですけど、やっぱりそれはこう、自分の属人的な部分、私のこう性格だったりっていうところを含めて、皆さんにこう理解していただいたり、共感していただくようになりたいなという思いだったので。
デビューから5年経ってマネジメントにも新たなメンバーもチームに加わってくれて、今それがすごく達成できそうな感じがするんです。自分自身そうなりたいと思ったけど、どうしてもやっぱり苦手なところってあって。それを埋めてくれる存在がいるので、そういう意味で新しい挑戦を前向きにできそうな1年です。
――はい、楽しみにしております。プライベートで何か挑戦したいこととかもしてありましたらお聞かせ願えますか?
KEI:いっぱいあるんだけどなー……でもしないで終わるからなぁ。どうせ(苦笑)
――「やる」「やらない」関係なく、ちょっとこれやってみたいんだよね……みたいなものでいいですよ。
KEI:いやいっぱいあるいっぱいある。いっぱいあります。本気で思ってるのは「すぐやれよ」って話なんですけど……マラソンというか、走りたい。走りたいなと思いました。
――マラソンを走ってみたいんですか?
KEI:マラソンまではいかなくても、要するにジョギング、ランニングを毎週末というか、日課にしてる人たちを見ると「わー。かっこいいなぁ」と思う。やりたいなぁって。
――私、コロナ禍になったばっかりの頃に週2で走ってました。今は引っ越してしまって走るのにすごく不向きなところなのでやらなくなっちゃんたんですが(苦笑)
KEI:なるほど。
――もし、よろしければ挑戦してみてください。東京だと走りやすい場所がたくさんあると思いますので。
KEI:そうですね。川沿いとか近所にもあって、良さそうだなぁと思っていて。ちょっとこの春からやってみようかなと思います。
――最後にファンの方へメッセージがございましたらお願いします。
KEI:はい。 まず今年2025年一発目のシングル『大逆転』リリースしました。重ね重ねになりますが、その……気分がさえない時であったりとか、なにかこう仕事に向かう時にストレスがあったりとか、学校へ行くのに大変だなという時に、大逆転聴いていただけたら嬉しいなというふうに思ってます。
そして、ライブ活動をたくさんしていきます。リリースも今年は本当にいろんな曲調で『大逆転』も新しい新境地というような感じでしたが、自分の中でテーマとしては本当にいろんな、今まで以上にもうR&Bとかそういうことにとらわれずに、いろんな形でジャンルで挑戦していこうという風に思ってますので、それも楽しみにしていただけたらうれしいです。
そしてもう一つはですね。KEI_HAYASHIグッズを作りまして実は。
――見ました。ラッコのかわいいものですよね。
KEI:そう。めろたぁです。そのめろたぁも末永くお付き合いいただければ嬉しいです。
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インタビューはここまでとなっております。
KEIさん、すごく貴重なお話をありがとうございました!