本日2025年4月6日はSkoop On SomebodyのドラムのKO-HEYさんの誕生日です。56歳のお誕生日おめでとうございます。
毎年、ドラムの一部分に注目して徹底解説する『細かすぎて伝わらないシリーズ』ですが、今年はドラム成分ゼロ、打ち込み純度100%の曲に注目してみました。
打ち込みで作った楽曲は人が演奏してないが故に無機質に一定のリズムを繰り返すのが特徴。
KO-HEYさんが作る打ち込みの曲ってびっっっっっくりするぐらい緻密に作られていて、圧倒されるんです。で、なにがすごいって……
使っている音の音色、入れるタイミング、緻密に重ねた音数。
3つ全てが絶妙すぎて最高のグルーヴを生み出してるんです。それを徹底的に解説したいなと思いました。
『細かすぎる』にちなんで、楽曲で使われているビートを可能な限り書き出しました。その魅力を紐解いていきます。
この記事を読んで、全ての音を感じてほしいです。(できればいい音のなる)ヘッドホンがおすすめですが……ない人はヨドバシカメラやビックカメラといった家電量販店や、eイヤホンの試聴機で聴いてみてくださいね。
Sexy Sexi Sexe
【使われている音】
ハイハット、クラップ、キック、スクラッチ、動物の鳴き声っぽい音、カウベル、シャリン鳴っている音。
シズル音が効いたシンプルなハイハットの8ビート、裏拍(2・4拍)で刻むクラップと交互に鳴る細かいキックが基軸のビートになっている。
フレーズが変わるタイミング等でキック・スクラッチと一緒にシャリンという音が鳴っている。この縦の揃った3音はインパクト抜群で、特にシャリンって音がすごくクセになる。(おそらく、ガラスが割れる音に近いナニカだと思う。)
動物の鳴き声っぽい音や高音スクラッチを散りばめて、ビートが聴こえてないところがみっちみちにした……だけではなく、こっそり小さい音でカウベルが複雑なビートを鳴らしている。
バラ色
【使われている音】
キック、スネアA、オープンハイハット、ハイハット、タンバリン、シンバル、スネアB(サビ前)、スネアC(間奏後半)グラスの音
基軸となっている音は5種類。4つ打ちのハイハット、裏拍(2・4拍)のやや固めなスネア、8ビートのタンバリン、やや複雑なキック、そして……ザラッとしたオープンハイハット。
バラ色といえば独特のタイミングで入ってくるオープンハイハット。一度聴いたら欲したくなるような気持ちよさの秘密は、3連符のタイミングで鳴ってるということ。4つ打ちや8ビートと揃わないタイミングで鳴っている。
そのうえ、キックと縦を揃えてるから3連符のビートが思いっきり身体を揺らす音になっている。(ちなみにこの記事書いて気づいて超びっくりした。)
サビ前には裏拍で1音鳴らして16ビートを叩き込む硬さマシマシのスネアが気持ち良すぎる。1音鳴らす→オープンハイハット→16ビートのスネア連打→サビの繋ぎが堪らない。
ちなみに、間奏ではグラスに入った氷の音が聴こえたあとに"La la la...."とTAKEさんが歌うところがありますが、そこだけスネアの音がこもったような音を使ってます。
Over & Over
【使われている音】
ハイハット、キック、スネア、シンバル(カップ)、シンバル(スプラッシュ)、鈴
基軸になってるのはハイハット、キック、スネア。そこにシンバルを2種類使って非常にシンプルな作りになっている。サビではハイハットに鈴を重ねてより揺らす感じにしている。
(……個人的にはサビのハープの音色を使ったシンセも一緒に聴いて欲しい。すごく気持ちいいグルーヴを作ってるし、めちゃめちゃ美しすぎる。)
LOVE STORY
【使われている音】
キック、スネア、ハイハット(クローズ/オープン)、シンバル、タム、タンバリン、フィンガースナップ(指パッチン)、高いビートの音(パンッという音)、中音のビート2種類(コツコツとした音)、高音のビート(キンッという音)
イントロのフィンガースナップで甘い空気感を作って、キック、スネア、高いビートの音の3つの縦が揃った音で一気に曲の幕が上がる。
Aメロ~Bメロではキック、裏拍(2・4拍)のスネア、4つ打ちのハイハット、ハネ感を取り入れたタンバリンは同じ……けど、AメロとBメロで使ってる音に違いがある。
Aメロでは高いビートの音(パンッ)と中音のビート(コツコツ)を組み合わせたリズムが鳴っている。Bメロになると高いビートの音だけになる。
サビ前の違いも大きい。1番サビ前はタンバリンだけだが、2番のサビ前はハネ感のあるタンバリンと高いビートの音が鳴り続けてビートを繋ぎ止めている。
そしてサビ。ビートがごっそり切り替わる。ハイハットが細かくなり、タンバリンの出番も増え、スネアの出番が減り、高いビートも中音のビートも入ってくる。
Cメロに入る前と終わりにはドラムのタムがチラッと聴こえるし、フィンガースナップも入ってくるし、TAKEさんの歌の後ろ(白い雪の中)では一瞬高いビートの音が細かくなる。(この細かくなるのがいい。)
Cメロ以降ではハイハットが8ビートになり少し早足に感じられるような流れになっている。(ちなみに、終盤の英語のフレーズの手前にもドラムのタムは登場してます。)
……これに加えて、オープンハイハットもところどころに使われている。バラ色同様3連符のタイミングで入れるところもあったし、サビやCメロ以降では多用されているし。(文章に書くのに限界を感じたので、ぜひともハイハット聴き取りチャレンジしてください。)
Coming 2 you-Remaster-
【使われている音】
TR-808(クラップ、ハイハット(オープン、クローズ)、キック、カウベル、クラベス、コンガ、タム)、ドラムのタム(ハイ、ロー、バス)
フィンガースナップ、高いビート音A(パンッと尾を引くような音)、高いビートB(スティックでなにか叩いてるような音)、スクラッチような音
TR-808(リズムマシン)を中心に隙間なくみっちみちにビートを詰めまくった曲。交互に鳴らす、同時に鳴らすのオンパレード。
印象的なのはパンッと鳴る高いビートは、確実に頭に残る音になっている。他にも細かい仕掛けが大量投入されている。スティックでなにか叩いたような細かく刻むビート、ハイハットの間に808のクラベスとカウベルを織り込んで作るグルーヴ、キック……これがそれぞれ細かく役割分担してグルーヴを作り上げている。正直、芸が細かいを通り越している。
それだけではなく、Bメロやサビの手前、サビの中盤、2番サビの終わりにはドラムのタムが入れている。そのうえイントロ、2番に入る前、ラスサビでは808クラップの連打が入っていたりするし、サビとかではスクラッチも聴こえてくる。
以下にTR-808の音を紹介しているサンプル動画を置いてますので、どんな音かわからない人はぜひこちらで音を確認してくださいね。
以上の5曲でした。こんな細かいビートが作れるKO-HEYさんは一刻も早く人間国宝にすべきだと思います←
改めて、KO-HEYさんお誕生日おめでとうございます。素敵な一年になることを遠くから願ってます!
これまでの『細かすぎて伝わらないKO-HEYさんの好きなドラムの音』はこちらから