本日2月21日はSkoop On Somebodyのメジャーデビュー日です。28周年おめでとうございます。
今年は『大人の恋愛』をコンセプトに前半はBitterSideと銘打って苦味の効いた4曲、後半はSweetSideとして甘くてとろける4曲。計8曲のプレイリストを作りました。レコードのA面とB面みたいなイメージで、ちょっと濃厚な楽曲を取り揃えました。一読いただけたら嬉しいです。
Bitter Side
1曲目:もうひとつの結末
TAKEさんの切ない歌声と哀愁漂うアコギ(超いい音!)がとても沁みる一曲。
ビートはKO-HEYさんが打ち込みで作っているけど、超凝った作りしてる。使われてる音の種類が豊富。また、1番Aメロではひっそりと乾いた音の小さなリズムが聴こえていて、アコギと歌声の引き立て役に徹してる。
音楽作る側じゃないけど、約20年前の曲でこんな緻密な作りって相当大変な気がする(し、ベースも作ってる可能性有。Rhythm Programmingってどこまでなんだ……。)
歌詞の「唇が熱を覚えてる」「その指先でこのカラダ触れられたら」は、肌を重ねて深い愛が刻まれてしまったからこそ感じる気持ちといえる。少しでも相手に触れたいと渇望する想い。理性との狭間で感じている苦しみには胸を締め付けられる。
2曲目:Missin'U〜体温と匂い〜
穏やかで気だるげな雰囲気はあるが、するすると曲が流れていく気持ちよさがある。オリエンタル感のあるビートが終始ループしていて、ゆったりさを纏いながらも時間が止まったような重苦しさは無い。すっと心に溶け込んでいくよさがある。
ソフトなTAKEさんの歌声と優しいハープの音色がしっとり感を加えていて、歌声には優しさを感じる。
「感じてたより僕らひとつだったんだね」というフレーズには愛情の深さをすごく感じる。記憶の底で揺らめいてる共に過ごした日々を愛おしく感じながらも、時の流れがぬくもりと匂いを遠ざけていくと語る歌詞は、すごく切なくて心にくるものがある。
3曲目:Stay in love
ピアノ、エロピ、シンセが織りなして作るサウンドの一面に気づいて欲しい。
シンセはイントロや間奏で聴こえてるものと、ファンクとかで使われてるザラザラとした感触の音がイントロやサビでリズムを刻んでる。2番のエロピ成分が濃くなるところがいい。打楽器エロピにグリッサンドっぽいものも聴ける。
サビで微かに低いコーラスの声らしきものが聴こえるが、そっとリードボーカルに手を添えるような感じがあっていい。
歌詞に関しては「痩せた情熱で 褪せた感情で」はどんどん想いが失われてくことへの苦しみや苛立ちを感じる。時間が過ぎていくコトで終わってしまった恋の苦味が増していくような感覚があるが、「たった ひとつ 鼓動だけ 響かせたまま」と続くから、どれだけ薄れても決して失われない想いがあると感じる。
4曲目:I Want You
切なく、儚く、美しい一曲。
人気(ひとけ)の無いところに佇んでるような雰囲気で胸をいっぱいにさせた後、ウインドウチャイムとハープの合せ技で一気にサビから曲が始まるのが美しすぎる。間奏になるとKO-ICHIROさん→KO-HEYさんとコーラスが続いた後、TAKEさんが"I want you""I really want you."囁くのはいい意味でゾクゾクする。
そして、なんといっても歌詞である。生々しく強く相手を求めた表現のある言葉と、苦味や痛み。相手に抱かれることを強く請う、戸惑いも迷いも何も考えられなくなってしまうぐらい、愛に溺れていたいという感情。
「強く交わしたお別れのキス むさぼるほどに」というワンフレーズから肌を重ねているような感じがあるけど……人間の本能が剥き出しになっていて、すごく大人の恋愛という感じがします。
Sweet Side
5曲目:Dance of Slihouette
ドラムが好き過ぎる。特に全体を通してハイハットの感触がめちゃめちゃ最高。ここまで主役になれるの?と思うぐらい表情豊かでしっかり鳴ってる感じ、アクセントが効いててクセになる。
その隙間にすっと入ってくる打楽器エレピが気持ちいいし、トライアングルはいい隠し味。そのうえ、華やかなサックスやトランペットといったホーンの生音が添えられていておしゃれ。
歌詞は洗練された都会の夜の空気とちょっとラグジュアリーな感じを含んでいるのが素敵。「広すぎる Suiteに 濡れた時間だけが通り過ぎて 君をきつく抱くたたび 身体は溶けてく」というフレーズからわかるように……しれっと肌重ねてるんです。こういう都会感ある大人の恋愛って素敵だなぁと思います。
6曲目:恋の炎
とろけるようなエロピ、打ち込みのエレキシタールとストリングスがすごくいい味を出してる。サビでコーラスが優しく包む感じが心地よくて、胸焼けしない程度の甘さをドラムのビートがコントロールしてる。もうこの空気にずっと浸っていたい。
ホテルの最上階にあるような、高級感あるバーのカウンターで二人並んでお酒楽しんでる一幕にしか思えない感じが堪らない。薄暗い店内のカウンターに置かれたマティーニが入ったグラスの影が作る指輪……素敵すぎませんか?
それだけではなく、そのまま夜の影に二人で消えてしまいそうな雰囲気を持ったまま曲が終わってしまう幕引き。もう夜だからこのまま二人でお酒楽しんで終わり……はではない。これぞ大人の恋愛。
7曲目:Brown Eyed Soul feat. JiN
こういう音が少なくて、ゆったりと間を楽しむようなグルーヴィーな曲って大人だなと思う。ベースとドラムのキックの間に鍵盤やギターの音が聴こえてからの、JiNさんの深いブレスで一気に曲の世界観に引き込まれてしまう。
そのまま空気感を馴染ませるように語りかけ、歌声とハーモニーが耳に入る。完全に心が曲の世界観に染め上げられたあとの「キャンドルに火をつけよう 今宵はどこまでも」から始まるのが強すぎる。情景が一気に薄暗い部屋に変わってしまう。そのあとに「感じあおうGroove & Shout」で思いっきり両サイドから至近距離で囁くのは、首筋にいい意味でのゾクゾク感が走る。本能でここから先はヤバいと認識するナニカがある。(それも大人の恋愛だよね。)
8曲目:Immorality
Skoop On Somebodyの楽曲の中で一番濃厚な大人の恋愛をしてる一曲。歌詞のほぼ全てがどう考えても肌重ねてしまってる真っ最中。完全に素肌。ずるい。
「カラダとカラダ ふたつのPieces 答は一つだけ Tonight」って、子供に見せても問題ないような感じなのに、大人が見たら二人きりで夜に溶けてしまう5秒前とわかる。「違うと言われると なおさら越えてみたい あなたのBorderline」「やめてと言うくせに 一瞬で越えてしまう 理性の Limit line」というストーリー展開。この抵抗する余地が一切無く堕ちていく展開……////////
「唇と指先 肌と肌 求め合う 饒舌なBody Talk」「ため息とささやき 薔薇と薔薇 溶かし合う 灼熱のImmorality」って、もう官能的過ぎて困る。
それをより濃厚に感じさせるサウンド。ゆったりとしたBPMで余韻が続く残響が効いたビートは音と音の間を感じて浸るような作りになっていて、ピアノもエロピも上品で大人の恋愛の空気を美しく演出している。(し、サビでぐっと雰囲気が変わる、動きがあるような感触も堪らないよね。)
(この曲はTAKEさんと小林夏海さんの共作だけど、誰がどこ書いたのか気になる。ちなみにクレジット欄は一般的に名前が先のほうが担当してる割合が高い。)
おわりに。
最近、大人の恋愛といえる楽曲やエンタメ(映画や小説)が減ってしまったような気がします。
ただでさえ生きていくことに必死な時代だから、エンタメで恋愛の苦味を感じてる心の余裕なんて無いんだろうなと思う。仕方ないよね。(でも、それで終わらせてしまうのはちょっとマズい気がするけど。)
二人きりの特別なひとときを過ごす……みたいな非現実感に満ちた甘い感じは見かけないし、肌を重ねるような展開はカットされてるコトが多い。本当に朝チュン増えたよね。
だからこそ、"Perfume music"はあってほしい。
昨今は等身大の恋愛や共感性のある曲が主流だけど、思わず背伸びしたくなるような感じや、夢見心地な感じに浸ったり、濃厚な夜感に胸が高鳴ったり……現代では失われつつあるけど、すごく大切なコトだと思います。
そして……TAKEさん、KO-HEYさん、KO-ICHIROさん、改めてメジャーデビュー28周年おめでとうございます。これからも素敵な音楽を楽しみにしています!