このご時世で一番足りてないもの全部乗せになった王道ラブソング。それが『きみには弱い』だ。
昨今は人と人との関わりが冷たくて、どこか大人になりきれてない人が増えてる。(かくいう私もその一人)。
皆必死に生きてる現代に、一番足りてないものがこの曲にはそろってる。
ぬくもり、大人っぽい雰囲気、心にゆとりのある空気感。
甘いんだけども甘ったるくなくて何度聴いても胸焼けしないこの感じ。スムースさとグルーヴを兼ね備えている聴き心地。
これぞまさにSkoop On Somebodyですよ……!
空気を引き立てるKO-ICHIROさんとエロピとTRI4THさん生のホーン。トランペット、トロンボーン、サックス2本は華やかで率直に言って超おしゃれ。
Skoop On Somebodyを長年サポートする小松秀行さんのベースプレイは、心までも揺らす重低音。
TAKEさんの歌声はいい意味でニクいですよね。
ほどよい色気と誘うような声だけど、紳士的な一面もある。サビで被せてるコーラスも気持ちいい。
誰が提案したのか謎だけど、スキャットも入ったりしてる。今までに無かったことに挑戦するのいいなって思います。
KO-HEYさんのドラムは、特に終盤を絶対に聴いてほしい。
"Give you all my love"のあとにハイハットがすごく細かくなって、ビートが勢いづく感じになる。
こんなの聴いたらますます揺れてしまうだろう……と思ってたら、それだけじゃないんです。
「きみへとI'm so into you」のあとのタッタッタッ、ッタ、ッタ、タタタタとスネアで刻んでキックを2回挟んでスネアを細かくするところが最高。
音と音の距離感が絶妙過ぎる。伝説の整体師かなにかですかと思うぐらいドンピシャなところ叩いていて気持ちいい。
歌詞についてはタイトルにもなった「きみには弱い」や最後の「愛してる」といった心をギュッと掴むようなフレーズや、どうにもならない感じには聴いてる側もときめいてしまう。
ただ、いろんな人の知恵を借りて作ったからか……歌詞全体を眺めた場合、ストーリーが繋がってない感じは否めない。
ミックスに関してですが、ミックスエンジニアはGerry Brown、マスタリングエンジニアはMike Bozzi にというグラミー賞受賞者2人にお願いしたというサウンド。全てが別次元の音。
まず冒頭のウィンドチャイムからもう違う。右と左を行ったりきたりしつつ、そっとフェードアウト。冒頭やAメロといった音数が少ない場所でのTAKEさんの声が跳ね返る感じや際立つのは鳥肌物。
Aメロには凝った作りがある。それがふわーっというシンセの音。1回目は左から右に流れていき、2回目は右から左へと流れていく。要するに流れが逆。
これが2番Aメロになると2回目のふわーっという音に続いて、フィーンフィーンフィーンというシンセ(ラジオでKO-HEYさんが話してた音)が右から左に流れていく。この音の追い打ちはクセになる。
そしてなんといっても、リードボーカルと同じぐらいコーラスがスポットライトを浴びているという、常識を逸脱したサウンドメイク。
外側から聴こえるコーラスがリードボーカルとほぼ音量。KO-HEYさんの高い声がTAKEさんとおんなじぐらい目立ってる。
(個人的にこのハモりを歌うのがめちゃめちゃ気持ちよくて好き。)
また、ドラムの音の味付けはどの音もすごくキレイに聴こえる。
タンバリンやシェイカーにも埋もれることがなく、終始ずっと存在感があるチッという音を鳴らすハイハット、バシッと存在感のあるスネア、控え目ながらもしっかりと身体に響くキック。
音が聴こえる空間の端に置かれたシンバルには耳に刺さらず、かつインパクトがあって身体が動く。
タムは左側には高音、右側には低音が配置されているが、音の響きが耳の真ん中にダイレクトで届く。
(特にバスタムは真横から音がくる感じがいい。)
そのうえ音の微調整もしているのだから圧倒される。精巧な切子細工をぐらい作ってるのかと思うぐらいの細かい。わかりやすいのはキックの音の響きが冒頭だけすごく芯がある。
じっくり聴き込んで気づいたのは、ハイハットをちょっとだけ前に出したり奥に引っ込めたりという非常に細かい作業をやっている。
(※ヘッドホン推奨。イコライザーをいじって低音や高音を削ったり増やしたりするとわかるかも。)
そして、MVについてですが……プレミアム公開を見終わった後、私の目の前に銭形警部が現れて「あの3人はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」と、言って去っていったんです。
5分間でいったい何人の心を盗んだ大怪盗なんだよ。どうしてくれよう……。
そもそも「きみには弱い」と銘打ってるのに、もうこのサムネの地点で強すぎてもはや勝ち確ですよね?女性の心を奪う気満々過ぎませんか?
そしてなにより、TAKEさんですよ。
1番サビの「ほら ひらひらと ひとつの影に溶けて」では手をひらひら動かしてさ、ひとつ、ひとつなんだよ……と言わんばかりに指を強調したりとか//////////////////////
1番サビ終わりの「きみには弱い」ってときは、本当に役者さんみたいに見える。
そこには心酔してる誰かがいるんですか?と思ってしまう表情してる……//////////////
すっごくかっこいいのが、最後のサビの「その瞳に捉えられて」では目をつぶって胸にぐっと握った手をもってくるところ……えっとね、ずるい。
しかもこれ、こっちは手を伸ばしてガン見されたあと、顔真っ赤なってるときだよ、そんな素敵な表情見せるのずるいって……////////////
(あと、今回のMV横顔率高くてめちゃめちゃ嬉しいです。)
……すみません、良すぎて思わず取り乱しました。
では、あらためて。
「きみには弱い」のMVは、淡く柔らかい光の感じと暗がり感のバランス、影の使い方が上手い。
カメラには動きがあり、ところどころコマ撮りっぽい感じもいれたりしてるという小技も効かせてる。
それに加えて、いい意味でどこか『ぼくが地球を救う~Sounds of Spirit~』からの時の流れを感じた。
3人ともスーツ姿だったり、TAKEさんが前髪を上げていたりするからだろうか。
あのMVから20年以上経って、歳を重ねたからこそ持ってる、大人の余裕や空気感が素敵。
TAKEさんは「年齢を重ねるのは悪いことじゃない」と話すことがありますが、こういう雰囲気は年齢を重ねないと出せないとすごく思う。
曲にピッタリの大人の空気感を演出した、監督のARATAさん……わかってるでしかない。
きっと、定期的に見たくなるような長く愛されるMVになると私は思います。
おわりに。MVに関して思ったコトですが、Skoop On Somebodyはバンドなんだよね。
演奏してる姿が一番華があって、そこになにを添えるかが大事なんじゃないな。
たとえば、とんかつ弁当の中身がとんかつとごはんだけ……ではないですよね。
お漬物や千切りキャベツ、卵焼きみたいな付け合せがあったり、超気の利いたお店なら簡素だけどお味噌汁がついてくるようにね。
今回は大人の雰囲気を最大限に添えていて、曲に見事にハマっていてたなぁ……とすっごく思いました。
以上。3000文字以上の長文にお付き合いいただきありがとうございました!
おまけ:ところで、リリースから1ヶ月経ちますが……Apple Musicでのクレジット詳細欄の追加お待ちしてます。全く追加されて無くてちょっといや、大分泣きたいです。。。。